7月に報復関税発動へ、米輸入制限受け欧州委が正式決定

欧州連合(EU)の欧州委員会は6日、米国が今月1日付で発動した鉄鋼・アルミニウムの輸入制限への対抗措置として、米国製品に報復関税を課す方針を正式決定した。月内に必要な手続きを終え、7月から最大28億ユーロ規模の報復関税を導入する方針だ。

トランプ政権は輸入品の増加で国内の鉄鋼・アルミ産業が弱体化すれば米国の安全保障が脅かされると主張し、鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%、10%の関税を発動した。EUに対しては5月末までの期限付きで輸入制限の適用を猶予していたが、一連の通商交渉で譲歩を引き出せないと判断し、1日付で適用除外の措置を打ち切った。

欧州委は米国の輸入制限によるEU側の損失を総額64億ユーロと見積もり、同措置が発動された場合に備え、5月中旬に報復関税の対象品目リストを世界貿易機関(WTO)に提出済み。第1弾として来月にも実施する報復関税の対象品目には鉄鋼品のほか、ハーレー・ダビッドソンのオートバイ、リーバイ・ストラウスのジーンズ、バーボンウイスキーなどが含まれている。EUはWTOでの紛争処理手続きも開始しており、WTOが米国の輸入制限をルール違反と認定した場合、さらに36億ユーロ相当の報復関税を課す方針を打ち出している。

欧州委のシェフチョビチ副委員長は定例会合後の記者会見で「7月から新たな関税を導入できるよう、加盟国と協力して6月末までに必要な手続きを完了させたい。これは米国による一方的で違法な決定に対する慎重で、適切な対抗措置だ」と強調した。

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