ドイツ政府は6日の閣議で、公的健康保険の被保険者負担を来年1月から軽減する法案を了承した。保険料を労使が折半するルールの復活が最大の柱で、被保険者の年負担は計80億ユーロ軽減されることになる。ただ、これまで被用者がすべて負担してきた追加保険料を雇用主も負担するようになることから、企業のコストは拡大する。
公的健康保険の保険料は以前、労使が折半していた。だが、経済競争力の低下を受けて2000年代に実施された構造改革の一環で、折半ルールを廃止。保険料を労使折半部分(一般保険料)と被用者単独負担部分(追加保険料)へと分離した。給与支給額をベースに算出される料率は一般保険率が14.6%(労使がそれぞれ7.3%負担)、追加保険料が平均1.0%。追加保険料の料率は健保組合によって異なり、現在は最低が0.3%、最高が1.7%となっている。
新ルールでは一般保険料と追加保険料の区分が残るものの、両者とも労使が折半することになる。独雇用者団体連合会(BDA)のシュテッフェン・カムペーター専務理事は企業の負担が年50億ユーロ増えることを指摘。ドイツの競争力、成長、雇用に悪影響をもたらすと批判した。
法案にはこのほか、月収1,142ユーロ以下の自営業者の保険料をこれまでの約半分の月171ユーロに引き下げることも盛り込まれている。法案は連邦議会(下院)と州政府の代表で構成される連邦参議院(上院)の承認を経て施行される。