サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会が14日、開幕した。サッカー大国ドイツでは大会が終了する7月15日まで、お祭り気分が支配することになる。
今回の大会は時差の関係でドイツ時間の午後の勤務時間中に行われる試合が多い。例えば一次リーグの独韓戦はキックオフが16時である。こうした場合、社員が勤務中にテレビやラジオの生放送を見聞きすることを許容する職場は比較的多い。ホーエンハイム大学のアンケート調査によると、ラジオ中継を聴くことを認める企業は57%、テレビ視聴も同38%に上る。
では、社員のそうした行為は大目に見なければならないのだろうか。この問題に絡んだ係争でケルン労働裁判所が昨年8月に判決(訴訟番号:20 Ca 7940/16)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判は自動車部品メーカー勤務の機械工が同社を相手取って起こしたもの。同機械工は2016年2月25日、勤務時間中に10~15メートル離れた同僚に呼ばれたため、自分の持ち場を離れて同僚のところに行った。2人はそこで、業務用パソコンを使ってサッカーの試合の生放送を視聴。その現場を工場長がたまたま目撃したことから、原告機械工は警告処分を受けた。
これに対し原告は、テレビを観ていたのは30秒~2分に過ぎないと主張。警告処分は不当だとしてその撤回を求める裁判を起こした。
一審のケルン労裁はこの訴えを棄却した。判決理由で裁判官は、たとえ30秒であっても原告は自らが担当する機械の監視を怠っており、労働契約上の義務への違反に当たると指摘。警告は行き過ぎた処分ではないとの判断を示した。上訴は認めなかった。