Ifo経済研究所が25日発表した6月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は前月を0.5ポイント下回る101.8となり、2カ月ぶりに悪化した。米トランプ政権の保護主義政策に起因する通商摩擦と世界経済の減速が反映された格好。同指数は昨年11月の105.2をピークに下落傾向が続いており、Ifoのクレメンス・フュスト所長は「ドイツ経済の追い風は弱まっている」との見方を示した。
現状判断を示す指数が前月の106.1から105.1へと1.0ポイント低下し、全体が押し下げられた。今後6カ月の見通しを示す期待指数は横ばいの98.6を保ったものの、基準となる100を3カ月連続で割り込んだ。
部門別でみると、製造業の景況感指数は5カ月連続で落ち込んだ。現状判断の悪化が響いた格好。生産は拡大見通しの企業が多い。
サービス業では現状判断が高い水準ながらやや悪化し、期待指数も落ち込んだ。
流通業では景況感指数が大幅に低下した。現状判断と期待指数がともに下落。景況感は特に小売業で大きく落ち込んだ。
建設業では現状判断がやや悪化、期待指数が横ばいだった。
難民問題をめぐって保守系与党のキリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)の関係が急速に悪化していることは今回の景況感指数に反映されていない。ネット銀ING-Dibaのチーフエコノミストはこれに関して、両党の対立が発足間もないメルケル政権の崩壊と議会の解散総選挙に発展すると、高速通信網の全国敷設といった緊急の課題や欧州連合(EU)の改革などが先送りされることになるとして、経済への悪影響に懸念を示した。
Ifoは第1四半期の成長率鈍化と通商摩擦を受けてドイツの国内総生産(GDP)成長率予測を先ごろ下方修正。今年の予測を従来の実質2.6%から1.8%、来年を同2.1%から1.8%へと引き下げた。