製薬・化学大手の独メルク(ダルムシュタット)は20日、中国電子商取引大手アリババの医療サービス子会社アリババ・ヘルスと協業合意したと発表した。同国の患者向けに医療関連サービスを提供する。
アリババ・ヘルスのデジタル・プラットフォームを通して医薬品の情報を提供する。具体的には服用する医薬品が偽造品でないかどうかを、アプリで確認できるようにする(トラック・アンド・トレース)。また、糖尿病、甲状腺疾患、循環器系疾患の分野でメルクが持つノウハウをアリババ・ヘルスのオンラインヘルスサービスと組み合わせ、服用の安全性を高める。このほか、人工知能(AI)をベースとする医療アプリの試験も行う。
メルクはまた、酵素の働きを利用して標的とする遺伝情報を変更するゲノム編集の分野で上海の同済大学とパートナーシップを締結したことも明らかにした。同済大学はゲノム編集分野で同社が形成する世界の有力大学や研究機関とのネットワーク「クリスパー・コア・パートナーシップ・プログラム」に中国初のパートナーとして参加することになる。
メルクはさらに、上海に有機EL(OLED)の技術センターを開設したことも明らかにした。現地の各顧客企業に適したオーダーメイドのソリューションを開発していく。