製薬・化学大手の独メルク(ダルムシュタット)は3日、ハイテク材料などを手がける機能性材料部門の業績改善計画を発表した。同部門の成長を長年けん引してきた液晶事業の不振を他の事業で相殺する考え。今後の市場ニーズを見据えた事業体制と新製品投入を通して2020から事業拡大へと転じる計画だ。
メルクは液晶の世界最大手メーカー。液晶事業は数年前まで、液晶テレビの大型化やスマートフォン、タブレットPCの需要拡大を追い風に順調に拡大していた。だが、近年は市場の飽和化や中国競合の追い上げを受けて液晶事業が低迷している。液晶窓などディスプレー以外の分野で市場開拓に取り組んでいるものの、同社は液晶市場が縮小してくと予想。その穴を埋めるために有機EL材料、半導体製造工程で使用されるフォトレジスト、半導体材料、コーティング材事業を強化し、20年から同部門の売上高を年2~3%拡大する目標だ。売上高営業利益率(EBITDAベース)は約30%を確保できるようにする。半導体材料がけん引車になるとみている。