「AIでの主導権確保に向け支援強化を」、半導体業界が欧州委に要求

欧州に拠点を置く半導体メーカーが欧州連合(EU)の欧州委員会に提言書を送り、次期EU予算で半導体分野の研究・開発(R&D)プログラムへの資金支援を100億ユーロに倍増するよう要求した。米国や韓国、中国などの大手メーカーが世界の半導体市場で支配力を強めるなか、人工知能(AI)などの領域で欧州企業が主導権を確保できるよう、資金面でR&D活動を支援するよう求めている。

ロイター通信によると、この提言書は独インフィニオンテクノロジーズ、独ボッシュ、仏ソイテック、スイスのSTマイクロエレクトロニクス、オランダASMLなど、欧州の半導体メーカー8社と3つの研究所が共同で作成した。「欧州におけるエレクトロニクス産業の価値連鎖の再起動」と題する提言書は、EUのR&D支援プログラム「ホライズン2020」の枠組みで策定されたマイクロ・ナノエレクトロニクス産業の産学官連携プロジェクト「ECSEL」を軌道に乗せるため、2021~27年を対象とする次期予算からの投資額を当初の50億ユーロから100億ユーロに引き上げるよう求めている。

さらに提言書は「AIは欧州にとって新たな可能性であると同時に新たな課題であり、この分野で欧州が主導権を握るには、既存の枠組みを上回るレベルの持続的な協力体制が不可欠だ」と指摘。欧州共通の利益につながる重要プロジェクトに対し、加盟国が公的資金を投入できるシステムを20年までに整備するよう求めた。

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