鎮痛剤イブプロフェンの供給が不足する恐れが出てきた。数少ない製造元の一つである独BASFの工場が、技術的なトラブルが原因で操業できない状況へと陥っているためだ。同社から供給を受ける製薬会社の間にはイブプロフェンを確保するために医薬品卸会社に在庫の問い合わせる動きが出ている。
BASFは米テキサス州ビショップの工場でイブプロフェンを製造している。生産能力は年5,000トン。広報担当者が6月27日明らかにしたところによると、同工場では3日から生産がストップしている。復旧には12週間を要する見通しのため、世界市場での供給不足が懸念されている。
イブプロフェンは最も需要が大きい鎮痛剤。製造元はBASFを含めて世界全体で6社にとどまる。工場は中国、インド、米国に各2カ所。
需要が増えていることから、BASFは昨年6月、ビショップ工場の生産能力を引き上げるとともに、独ルートヴィヒスハーフェンにワールドスケールの新生産施設を建設する計画を発表した。ルートヴィヒスハーフェンの新工場が2021年に操業を開始すると、同社はイブプロフェンの生産施設を2つ持つ世界初のメーカーとなる。