使い捨てプラスチック製品の販売から撤退する動きが、ドイツの小売業界で出てきた。プラスチックごみの排出削減に向けた欧州連合(EU)の取り組みに呼応した措置で、業界大手レーベ・グループは樹脂製の使い捨てストローの販売を年内で停止。ディスカウントスーパー大手リデルなどを傘下に持つシュヴァルツ・グルッペは樹脂を原料とする使い捨てのコップやカトラリー、皿を来年末までに取扱製品から除外する。
EUの欧州委員会は5月、ストローなど一部の使い捨てプラスチック製品の使用を禁止することを提案した。プラスチックごみによる海洋汚染に歯止めをかける戦略の一環で、加盟国と欧州議会の承認を来年5月の欧州議会選挙より前に取り付けることを目指す。
禁止の対象となるプラスチック製品は、環境に優しい代替品が低コストで入手できる状況にあるストロー、ナイフ、フォーク、皿、マドラー、綿棒の軸、風船スティック。飲料容器については、蓋付きの製品に限って利用を認める。
欧州委によると、欧州では毎年2,580万トンのプラスチックごみが排出されているが、リサイクルされるのは30%未満にとどまっている。海に流出する海洋ごみの85%がプラスチックごみで、海洋生物の生態系に深刻な影響を及ぼしている。
レーベはこうした事態を踏まえ、樹脂製ストローの販売を取り止め、紙や藁、ステンレス製に切り替えていく方針を打ち出した。同社は声明で、使用時間が平均20分に過ぎない樹脂製の使い捨てストローの販売を中止すると、グループ全体で年4,200万本がゴミとして発生することを回避できることを強調した。
欧州の環境保護団体連合シーズ・アット・リスクによると、ドイツで廃棄される樹脂製ストローは年48億本に上る。レーベの販売中止で発生が回避される同ゴミはその1%弱を占める計算だ。