ドイツ政府は18日の閣議で企業秘密の保護ルールを定めた法案を了承した。欧州連合(EU)の営業秘密保護指令(2016/943)を国内法に転換するもので、企業は営業上の秘密の不正な利用などから保護されることになる。同法案には内部告発者を保護するためのルールも盛り込まれている。
同法案が施行されると、企業は自社の秘密が不正に取得、利用、公開された場合、それらの行為の差し止めと損害賠償の支払いを請求できるようになる。また、裁判審理で企業秘密が取り扱われる場合は、係争対象となっている情報を「要秘密」扱いとすることで、秘密が記された文書を閲覧したり、秘密内容が取り扱われる審理に参加できる者を制限することができるようになる。カタリーナ・バーリー法相は「経済はアイデアとイノベーションを糧にしている」と発言。競争力の源泉となる技術などの重要情報が同法案によって保護されることの意義を強調した。
法案には企業秘密を隠れ蓑に不正が行われるのを防ぐために、内部告発者とジャーナリストを保護するための規定も盛り込まれた。内部告発者などが企業秘密を取得、利用、公開しても、それが表現・情報の自由の行使や不正などの表面化に寄与する場合は違法行為とならない。