独銀2位のコメルツ銀行(フランクフルト)は19日、中国政府が提唱する広域経済圏構想「一帯一路(BRI)」の支援に向けて中国最大手銀の中国工商銀行(ICBC)と枠組み契約を締結したと発表した。総額50億ドル規模のBRI関連プロジェクトを今後5年間、融資や市場資金調達、貿易金融を通して後押ししていく。
一帯一路は中国から欧州、アフリカにまたがる巨大な経済圏を構築するという構想で、習近平国家主席が2013年に提唱した。中国から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「シルクロード経済ベルト(一帯)」と、中国沿岸部を東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸と結ぶ「海上シルクロード(一路)」からなる。中国はこれに沿った地域で交通インフラや工業団地を整備し、東西の交易を活発化させる考えだ。
コメ銀とICBCは同構想関連のプロジェクトに取り組む欧州とアジアの企業を資金面で支援していく。コメ銀が欧州に持つ強力な販売力と、中国市場に関するICBCの知見やノウハウを組み合わせることで相乗効果を引き出す考えだ。
コメ銀グローバル金融機関部門のニコラウス・ギースベルト取締役は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、「新しいシルクロード(一帯一路)のプロジェクトはねじ・建材メーカーやハイテク製品メーカーといった違いを超えてあらゆる分野のドイツ企業に事業拡大の大きな可能性を提供する。独顧客企業の事業拡大をICBCと共同で支援していきたい」と語った。具体的には融資のほか、債券発行の引き受け、売掛金回収・為替リスクの保証などを行う考えだ。