ノバルティス―米国での値上げ見送り―

スイス製薬大手ノバルティス(バーゼル)のヴァサント・ナラシンハン社長は18日の決算発表で、米国市場での今年の値上げ計画を自主的に撤回したことを明らかにした。米トランプ政権が製薬会社の値上げを強く批判していることを受けた措置。政府の怒りを買わないようにするために値上げを断念した。

トランプ大統領は9日のツイッターに「ファイザーその他の製薬会社は医薬品価格を理由もなく上げることを恥じるべきだ」と投稿した。これを受けてファイザーは1日付で実施した値上げを撤回した。トランプ大統領は大統領選挙の最中から製薬会社を批判しており、同国での値上げは難しい状況にある。

ノバルティスの2018年4-6月期(第2四半期)決算の純利益は前年同期の19億7,900万ドルから約4倍の77億6,800万ドルへと急拡大した。英同業グラクソ・スミスクライン(GSK)と共同で設立した一般医薬品合弁の資本36.5%をGSKに譲渡したことで水準が57億ドル押し上げられたことが大きい。中核事業の純利益は5%増の30億1,100万ドルだった。

売上高は131億5,800万ドルで、7%増加。営業利益も9%増えて24億8,400万ドルとなった。

主力の特許薬部門は売上高が10%増の88億7,600万ドル、営業利益が11%増の22億5,200万ドルで、売上高営業利益率は前年同期の25.1%から25.4%へと上昇した。

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