独自動車大手フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)グループのヘルベルト・ディース社長は1日の決算発表で、「アジアのメーカーにいつまでも依存しているわけにはいかない」と述べ、車載電池事業への参入に意欲を示した。現在主流の車載リチウムイオン電池では競争力の高い日韓中のメーカーからセルを調達せざるを得ないが、次世代電池の本命である全固体電池ではセルの内製化を実現したい考えだ。
VWは6月、米国のスタートアップ企業クアンタムスケープと共同で合弁会社を設立することを明らかにした。全固体電池の実用化を加速することが狙いで、まずは2~3年をかけて量産が可能かどうかを検証。可能という結論が出た場合は2022~23年にパイロット生産を開始し、24~25年から量産体制に入る。ディース社長はドイツを含む欧州に工場を設置することを視野に入れていると語った。
VWは電動車の車種と販売台数を大幅に増やしていく方針を打ち出していることから、リチウムイオン電池に比べ航続距離などの性能が高い全固体電池を自社モデルに搭載し、技術・コスト競争力を高める考えだ。
同社長はまた、電動車と自動運転車、コネクテッドカーに巨額の資金を投資することに言及。収益力を落とさずに費用を捻出するためにコストをこれまで以上に圧縮する考えを明らかにした。すべてのブランドと工場で25年までに効率を30%引き上げるとしている。
2018年4-6月期(第2四半期)決算の営業利益は前年同期比13.2%減の39億4,800万ユーロへと落ち込んだ。ディーゼル車排ガス不正問題に絡んで特別費16億ユーロを計上したことが響いた格好。同不正問題に絡んでVWが計上した費用は計274億ユーロへと拡大した。売上高は3.4%増の611億4,900万ユーロで、売上高営業利益率は前年同期の7.7%から6.5%へと落ち込んだ。特別費を除いた営業利益は22.7%増の55億8,300万ユーロと大きく伸びており、同ベースの売上高営業利益率は7.7%から9.1%へと上昇した。
税引き前利益は44億9,500万ユーロで、6.8%増加した。同利益が営業利益よりも大きいのは、中国合弁の利益はVWの営業利益に含まれず、金利収入として税引き前利益に計上されるため。