ベアリング大手の独シェフラー(ヘアツォーゲンアウラハ)は6日、ドライブ・バイ・ワイヤー技術の有力企業である独パラバン(Paravan)と合弁会社を設立することで基本合意したと発表した。自動運転に関連する分野で技術を獲得することなどが狙い。独連邦カルテル庁の承認を得たうえで、取引を実施する。
合弁会社シェフラー・パラバン・テヒノロギーを設立する。新会社にはパラバンが同社独自のドライブ・バイ・ワイヤー技術「スペース・ドライブ」、シェフラーが将来の都市交通向けに開発した電気自動車(EV)のコンセプトカー「シェフラー・ムーバー」をそれぞれ持ち寄る。シェフラーは90%を出資して経営権を掌握。パラバンの創設者であるローラント・アーノルト社長は新会社の社長に就任する。
ドライブ・バイ・ワイヤーはステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバーなどを電気信号で制御する技術・部品。ケーブルや油圧装置を使って機械的に制御する従来の技術に比べ省エネ性能が高いほか、踏力などの小さい障害者でも健常者のように操作できるメリットがある。車両の制御に電気信号を用いることから、自動運転車でも大きな役割を果たすと目されている。
ドライブ・バイ・ワイヤーを用いるとステアリングが不要となることから、内装をはじめ車両設計の自由度が高まるというメリットもある。
シェフラー・ムーバーはシェフラーが4月の株主総会で初公開したEVコンセプトカー。省スペースを重視しているのが特徴で、同社は自動車部品開発のプラットホームとして利用する考えだ。
パラバンは障害者向け車両ソリューションの有力企業で、従業員数は180人。「スペース・ドライブ」はもともと、障害者のために開発した。シェフラーとの合弁を通して同技術の改良と量産化を目指す。