管理職の残業も共同決定の対象か

従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は法律ないし業界労使の取り決めがない場合、業務の多くの事柄を雇用主と共同で決定する権利(Mitbestimmungsrechte)を持つ。これは事業所体制法(BetrVG)87条1項に定められたルールである。同項1には事業所内の秩序と被用者の行動に関する問題、同項2には始業・終業時間、休憩時間、個々の週内での労働時間の割り振り、同項3には正規労働時間の一時的な短縮・延長(操短・残業)が共同決定しなければならない事柄として定められている。このルールを巡る係争でケルン州労働裁判所が2月に決定(訴訟番号:9 TaBV 34/17)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は小売チェーンの事業所委員会が同社を相手取って起こしたもの。同チェーンの経営陣と事業所委の合意では店長や主任の勤務時間について(1)週労働時間を37.5時間とし、これを最大5日の範囲で割り振る(2)企業および他の社員の利害を踏まえたうえで始業・終業時間と勤務日を自らの責任で決定する――が取り決められていた。

この取り決めにも関わらず、店長などの週労働時間は頻繁に37.5時間を超え、週6日勤務する者のいたことから、原告事業所委は提訴。週の労働時間が37.5時間、同勤務日数が5日を超えることの差し止めを求めて提訴した。

一審のケルン労働裁判所は原告敗訴を言い渡したものの、二審のケルン州労裁は逆転勝訴決定を下した。決定理由で同州労裁の裁判官は、事業所委の同意なしに週労働時間が37.5時間を超えることはBetrVG87条1項の共同決定権規定に抵触すると指摘。また、週労働時間をどの曜日に割り振るかという問題は共同決定しなければならない事柄だとして、店長など管理職本人の希望で特別な取り決め結ぶ場合などを除いて管理職を週6日以上、働かせること(共同決定した取り決めからの逸脱)は違法だと言い渡した。

最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への異議申し立ては認めなかった。

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