ドイツ政府は2日の閣議で、内務省、労働省、経済省が共同作成した移民法の原案を了承した。ドイツでは雇用の拡大と少子高齢化の進展を受けて専門人材が不足し、経済の足かせとなっていることから、政府は同国初の移民法を作成し、欧州連合(EU)域外からの人材流入を促す考えだ。今後は最終法案を作成し、年末までに閣議決定する。
ドイツではこれまで、連邦雇用庁(BA)が「人材不足が深刻」と認定した職種を除いて、国内の失業者を優先採用することが企業に義務づけられてきた。EU域外の人材を採用するためには、国内に適した人材がいないことの証明をBAから受ける必要があり、手間ひまがかかる。採用計画を承認されないリスクもある。
3省が作成した法原案には国内失業者の優先採用ルールを原則廃止することが盛り込まれた。このため、企業が採用を決めればEU域外の人材であっても基本的に採用できるようになる。
原案にはまた、専門技能を持つEU域外の人材が訪独して最大6カ月間、求職活動を行えるルールも盛り込まれた。このルールが適用されるのはこれまで、大卒以上の者に限られていた。業務に必要なドイツ語を十分に使えるほか、滞在費用も自弁することが前提となるが、ドイツ全体の求職者数が増えることから、企業にとっては人材を確保しやすくなるメリットが期待できる。
政府はさらに、難民申請を却下されたものの国外退去を猶予されている難民について、職業訓練ないし就労している場合は滞在資格を認めることでも合意した。手工業など人材不足が深刻な業界ではそうした難民が必要不可欠の労働力となっていることに配慮した。