フォルクスワーゲン(VW)の高級車子会社アウディが各車両を識別するための車体番号を偽造していたことが分かった。『南ドイツ新聞(SZ)』が同社とミュンヘン検察への取材をもとに報じたもので、排ガス不正を隠ぺいするために虚偽の車体番号を刻印していた。
同紙はVWグループの排ガス不正問題発覚(2015年9月)を受けてアウディが立ち上げた内部調査委員会の報告書を入手した。それによると、インゴルシュタット、ネッカースウルム工場の従業員は韓国で販売する車両の有害物質排出量と燃費データの改ざんを13年から行っていた。同国の規制に対応していないことを隠ぺいすることが狙いで、隠ぺいの事実が発覚しないようにするために車体番号も偽造していた。
この事実を記した16年7月14日付の報告書はルパート・シュタートラー社長(当時)とその他の役員に提出された。
同社は16年の事業報告書のなかで、いかなる違法行為も許容しない方針を強調していた。それにも関わらず、データ改ざんと車体番号偽造の事実を捜査当局に通報していなかった。
ミュンヘン検察は17年3月に行ったアウディ本社の立ち入り調査で内部調査委の報告書を入手し、この問題を初めて把握。アウディ社員3人を対象に捜査を開始した。
アウディは検察に通報しなかったことについてSZ紙に、内部調査がまだ終了していないためだと回答した。だが、16年7月14日付の報告書には◇誰が関与していたか◇関与した社員は違法性を認識していた――などの詳細な事実が記されており、同社が通報しなかったことは新たな責任問題につながる可能性がある。