フォルクスワーゲン―中国重視を一段と鮮明に―

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)が中国重視の姿勢を一段と強化する。ヘルベルト・ディース社長は7日訪問先の北京で、「今後数十年、自動車業界の中心となるのは中国だ」と明言。同国で販売を伸ばすだけでなく、今後は本格的な開発も行うとして「中国企業になる」意向を表明した。

VWは中国市場最大の自動車メーカーで、2018年1~11月の現地販売台数は380万4,400台に達した。グループ販売全体の38%以上を占めている。市場は現在、低迷しているものの、世界最大であることに変わりはない。

VWはこれまで、ドイツなど欧州で車両を開発してきた。中国販売車は欧州開発の車両を現地仕様化したもので、同国で一から開発することはなかった。今後は同国発の車両や技術を世界に「輸出」していく考えだ。

背景には電動車や自動運転車、コネクテッドカーなど今後の競争力のカギを握る分野で優れた企業が中国に多いという事情がある。VWは11月、同国のIT大手百度を中心とする自動運転の開発連合「アポロ」に参加すると発表した。自動運転車の開発を中国現地で加速する狙いだ。ディース社長は「将来の自動車生産に必要なハイテク企業を欧州で創出することはできない」と述べ、電動車や自動運転車の分野で競争力を獲得するためには中国事業の強化が必要不可欠だとの認識を示した。

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