自動車大手ダイムラー(シュツットガルト)は15日、乗用車部門メルセデスベンツ・カーズ(MBC)の二酸化炭素(CO2)排出量が昨年は走行1キロメートル当たり平均134グラムとなり、前年の125グラムから7%増加したと発表した。欧州連合(EU)で乗用車を販売するメーカーは2021年のCO2排出削減目標を設定され、違反すると罰金が科されることから、同社は車両の電動化を加速して遵守する意向だ。
EUは08年、15年までに乗用車と小型商用車のCO2排出量を走行1キロメートル当たり平均130グラム以下とする規制を導入。14年には21年までに同95グラム以下に抑えることを義務付ける規制案が採択された。
ただ、各メーカーの許容上限値は車両の重量やサイズが加味されることからそれぞれ異なり、MBCは105グラムとやや高く設定されている。それでも今後3年で29グラム(22%)引き下げるのは容易でない。
MBCのCO2排出量は長年、減少傾向にあり、17年は1999年を45%以上、下回った。18年になって大幅に増えた背景には主に3つの要因がある。一つはEUの排ガス検査方式が従来の「新欧州ドライビングサイクル(NEDC)」から「世界統一試験サイクル(WLTP)」へと変更されたことだ。WLTPはNEDCに比べて検査精度が高く、検出される排ガスの値が大きくなる。
窒素酸化物(NOx)の濃度規制を遵守できない状況が都市部で続いていることを受けて、ディーゼル車の走行禁止論議が高まり、同車両の需要が大きく落ち込んだことも響いた。ディーゼル車はNOxの排出量が多いものの、ガソリン車に比べてCO2排出量が少ないというメリットがある。ディーゼル車販売減の穴を主にガソリン車が埋めたことから、MBCのCO2排出量が増えた。
このほか、サイズが大きいSUVと四輪駆動車の販売が拡大したことがCO2の排出増につながった。
MBCはCO2排出量を今年はわずかしか減らせないとしている。ただ、来年は電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)のモデル数を大幅に増やす計画のため、排出量を大幅に削減できるとしている。