半導体大手の独インフィニオン(ミュンヘン)は2日、米同業サイプレス・セミコンダクターを買収することで合意したと発表した。長期の成長が見込める車載、IoT向け分野で事業を強化する狙い。買収が実現すると、同社は世界の半導体市場で8位となり、車載分野ではトップに躍り出る。
サイプレスを1株当たり23.85ドルで買収する。これは過去30日間の加重平均株価を46%上回る水準。サイプレスを90億ユーロと評価しており、インフィニオンが行う買収では2015年の米インターナショナル・レクティファイアー(IR)買収(約30億ドル)を抜いて過去最大となる。サイプレス株主と当局の承認を経て買収手続きが年末ないし来年初に完了すると見込んでいる。
サイプレスはコンピュータシステムをひとつの集積回路に組み込んだマイクロコントローラー、ソフトウエア、接続部品に強く、パワー半導体、センサー、セキュリティソリューションを強みとするインフィニオンとは事業の補完性が高い。地理的にも米国に強い足場を持つことから、インフィニオンは同社の買収によりシリコンバレーでの研究開発力を強化。また、戦略的に重要な日本市場でプレゼンスとシェアを拡大する。
サイプレスの売上高は昨年、25億ドル(22億ユーロ)に上った。インフィニオンは同76億ユーロだったことから、合計の売上高は約100億ユーロに達する。
買収後は売上成長率で年9%、営業利益の成長率で同19%を目指す。コスト面のシナジー効果は22年までに年1億8,000万ユーロに上る見通し。売上分野のシナジーは長期的に年15億ユーロを見込む。