人材不足解消に向けた移民法案が可決

ドイツ連邦議会(下院)は7日、政府の専門人材受け入れ法案を一部修正のうえで可決した。同国では雇用の拡大と少子高齢化の進展を受けて企業の人手不足が深刻化し、経済の足かせとなっていることから、政府は同法案を通して欧州連合(EU)域外からの人材流入を促進する考えだ。法案は連邦参議院(上院)の可決を経て、来年1月1日付で施行される。

ドイツではこれまで、連邦雇用庁(BA)が「人材不足が深刻」と認定した職種を除いて、国内の失業者を優先採用することが企業に義務づけられてきた。EU域外の人材を採用するためには、国内に適した人材がいないことの証明をBAから受ける必要があり、手間ひまがかかった。採用計画を承認されないリスクもあった。

政府はこれを踏まえ、国内失業者の優先採用ルールを原則廃止することを法案に盛り込んだ。このため今後は、企業が採用を決めればEU域外の人材であっても基本的に採用できるようになる。

法案にはまた、専門技能を持つEU域外の人材が訪独して最大6カ月間、求職活動を行えるルールも盛り込まれた。このルールが適用されるのはこれまで、大卒以上の者に限られていた。業務に必要なドイツ語を十分に使えるほか、滞在費用も自弁することが前提となるが、ドイツ全体の求職者数が増えることから、企業は人材を確保しやすくなる。

十分な専門技能を持たないEU域外の外国人が職業資格を得るための職場を探すことも認められるようになる。ただ、◇ドイツ語会話ができる◇大学入学が可能な学歴を持つ◇25歳未満――という3条件を満たしていなければならない。

連邦議会の採決では政府法案に、46歳以上の新規移民は月収が3,685ユーロ以上であることを条件とするとの条項が追加された。高年齢で流入する移民は公的年金の納付期間が短く、老後に生活保護を受けるリスクが高いことから、そうした事態が起こりにくくする狙いがある。

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