大量解雇計画の当局への通知で最高裁判決

雇用主は大規模な解雇(Massenentlassung)を実施する前に、連邦雇用庁(BA)に計画を通知しなければならない。これは解雇保護法(KSchG)17条1項に記されたルールである。どの程度の人数が大規模な解雇に該当するかも明記されており、従業員数が21人~59人の企業では6人以上となっている。このルールに絡む係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が13日に判決(訴訟番号:6

AZR

459/18)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は経営破綻したメーカーP社の管財人を相手取って解雇通告を受けた被用者が起こしたもの。P社に対しては2017年6月1日付で破産手続きが開始され、被告は管財人に選任された。

被告は同月26日、大量解雇計画をBAに通知するとともに、原告を含む全被用者45人の解雇を同日付の文書で通告した。原告は解雇通告を翌27日に受け取った。

これに対し原告は欧州連合(EU)司法裁判所(ECJ)の判決を根拠に、雇用主(ここでは被告管財人)は解雇決定(解雇文書への署名)の前にBAに大量解雇計画を通知する義務があったと主張。解雇決定がBAへの通知前に行われたとして、解雇無効の確認を求める裁判を起こした。

原告は一審で敗訴したものの、二審で勝訴。二審のバーデン・ヴュルテンベルク州労働裁判所は、被告は解雇決定前にBAへの通知を行わなければならなかったと言い渡した。

一方、最終審のBAGは原告の逆転敗訴判決を下した。判決理由でBAGの裁判官は、BAへの大量解雇計画の通知を雇用主に義務づけるKSchG17条の規定は、解雇で発生する多数の失業者の転職斡旋などを効率的に行えるようにするために設けられたルールであることを指摘。解雇決定そのものは同通知義務と無関係だとして、BAへの通知を解雇決定後に行うことに問題はないとの判断を示した。

ただ、二審では事実審理が十分に行われなかったとして、裁判をバーデン・ヴュルテンベルク州労裁に差し戻した。

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