フィンテック業界に淘汰の波、業務停止企業の73%が17年以降に集中

情報通信技術(ICT)を駆使して金融サービスを提供するフィンテック業界に淘汰の波が押し寄せている。監査法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の調べによると、ドイツでは2017年にフィンテックの事業停止件数が急増。今年は昨年に引き続き同件数の記録を更新する見通しだ。

11年から今年5月までに事業を停止したフィンテックの数は計233社に達した。16年までは数が少なく、同年は12件にとどまっていたものの、17年に62件へと急増。18年は74件に達した。今年は5月時点で34件に上っており、PwCは年末までに82件に増えると予想している。

これまでの事業停止件数(233件)の73%を17年から今年5月までが占めている。調査担当者は「市場が一定期間の経過後に再編期に入るのは新しく誕生した業界ではごく自然なことだ」との見方を示した。

事業停止件数が最も多かった分野はファイナンスで、70件を占めた。これにプロップテック(不動産)が53件で続き、3位は決済(29件)だった。4位以下はインシュアテック(保険、22件)、投資(20件)が続く。ビットコインは11件だった。

都市別では起業が盛んなベルリンがダントツで多く、74件に達した。2位ミュンヘン(25件)の約3倍に上る。金融都市フランクフルトは20件で、ハンブルク(21件)に次ぐ4位だった。

起業から事業停止までの期間は平均3.8年だった。3年目が22%、4年目が26%と特に多い。5年以内の事業停止は全体の81%を占めており、5年以上存続したフィンテックは生き残る可能性が高い。

事業停止したフィンテックの89%はベンチャーキャピタルの支援を受けていなかった。ここからは、ベンチャーキャピタルの支援を受ける企業は生き残る可能性が高いことがうかがわれる。

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