突然の休校、子供の世話のために勤務は免除されるか?

ドイツは6月、猛暑に襲われ、同月の最終週には各地で月の最高気温を更新したほどの記録的な暑さとなった。そうした日は学校が独自の判断で午後から休校とすることがある。大半の子供にとっては嬉しいことだろう。だが、仕事を持つ親にとっては休校の連絡が突然、入ることは大きなジレンマである。こうした場合、被用者は子供の世話をするために仕事を打ち切って帰宅することができるのだろうか。この問題に関して独労働総同盟(DGB)がサイト上で被用者の権利の範囲を明確に示しているので、取り上げてみる。

まず、被用者が仕事を打ち切ることはできるのかという問題だが、これはケースバイケースである。子供の年齢が高く、親がいなくても問題ない場合は仕事を打ち切れないが、一人にしておくことができない年齢であれば退社して自宅に帰らなければならない。

では、子供の世話をするために勤務時間中に仕事を切り上げた場合、勤務しなかった時間の給与を受給する権利はあるのだろうか。これについては答えは「ノー」である。根拠となるのは民法典(BGB)616条の規定だ。

同条には、役務を義務づけられたもの(ここでは被用者)は、本人に原因があるものの責任はない出来事を理由に仕事を極端に長くない時間、行えなかった場合、報酬を受ける権利を喪失しないと記されている。「本人に原因があるものの責任はない出来事」とは例えば出産、病気、近親者の死亡を指す。

子供の学校の猛暑休校による被用者の早退は、天気という「本人に原因のない出来事」に起因しているため、報酬(給与)の請求権はないのである。

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