自動車部品大手の独ボッシュ(シュツットガルト)は10日、人工知能(AI)の研究拠点を西南ドイツのテュービンゲンに建設すると発表した。産業用AI分野の研究で世界のトップグループに入るという目標実現に向けた取り組みの一環。同地のAI研究連合「サイバーバレー」のネットワークを活用し実用志向のAI研究を加速する。
約3,500万ユーロを投じて「AIキャンパス」という名の研究拠点を建設する。約1万2,000平方メートルの敷地取得に向けて現在、テュービンゲン大学と交渉している。2022年末の開設を予定する。
AIキャンパスには研究・事務用のほか、スタートアップ企業や外部の研究グループが一時的に利用できるスペースを設置する。また、地上階は誰でも自由に出入りできるようにし、サイバーバレーのAI専門家が意見を交換しやすい環境を提供する。
AIキャンパスではボッシュ人工知能センター(BCAI)をはじめとする同社のAI専門家とスタートアップ企業の専門家が共同プロジェクトを実施する。約700人が勤務する見通し。多くの専門家を一所に集めることで相乗効果を引き出す狙いだ。
サイバーバレーはバーデン・ヴュルテンベルク州内のAI研究を促進するために、産学官が手を携えて16年に設立した。基礎研究の成果を産業分野で速やかに実用化することを目的としている。同州のほかマックスプランク知能システム研究所、テュービンゲン大学、シュツットガルト大学、BMW、ダイムラー、ポルシェ(自動車)、ZFフリードリヒスハーフェン、ボッシュ(自動車部品)、アマゾン(IT)などが参加している。