英国の欧州連合(EU)離脱決定を受けて金融機関の誘致合戦を繰り広げてきた独フランクフルトと仏パリが手を結ぶ方向だ。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が11日、報じたもので、フランクフルトの金融立地競争力強化を目的とする非営利法人、「フランクフルト・マイン・ファイナンス」のフベルトゥス・フェート専務理事は「競争の時代の後に提携の時代がやってきた」と述べ、提携の実現に前向きな姿勢を示した。
パリを中心とするイル・ド・フランス地域圏のヴァレリー・ペクレス知事は6月にフランクフルトを訪問し、両都市が金融分野で協力する構想を披露した。提携を通して両市の魅力を高めることが狙いだ。パリの金融市場活性化を目的とする組織、「パリ・ユーロプレイス」がこのほど開催した年次総会でも、同組織の会長やエドゥアール・フィリップ仏首相が同様の考えを表明した。
具体的には◇EU域内の資本市場を活性化して企業が資金調達しやすい環境を整える「資本市場同盟」の実現◇グーグルやアマゾンなどの米IT大手に対抗するためにフィンテックと既存金融機関の協業を促進する◇環境問題の解決に役立つ投資への資金提供である「グリーンファイナンス」の標準を確立し、金融機関による概念濫用を防ぐ◇人材育成――などを検討している。両市は早ければ9月にも提携に関する発表を行う見通しだ。