流通大手の独メトロは25日、筆頭株主である投資会社EPグローバル・コマース(EPGC)の買収計画は同社の価値を過小評価しているなどとして、株式公開買い付け(TOB)に応じないよう株主に呼びかけた。
EPGCはチェコの投資家ダニエル・クレチンスキー氏とスロバキアの投資家パトリック・トカシュ氏がドイツで設立した投資会社。出資比率はそれぞれ53%、47%となっている。同社は昨年、メトロの筆頭株主だった複合企業ハニエルとメトロの姉妹会社である家電量販大手セコノミーからメトロ株を取得した。出資比率は現在、17.52%で、ハニエル(同15.20%)を抜いて筆頭株主となっている。
EPGCは10日、TOBを通してメトロを買収する方針を発表した。普通株を1株当たり16ユーロ、優先株を同13.80ユーロで買い取る意向。普通株の買い取り価格はメトロへの出資計画を発表した日(昨年8月24日)の前日終値を34.5%上回っている。
普通株67.5%以上の確保をTOBの成立条件としている。ハニエルとセコノミーはTOBに応じることをすでに確約しており、EPGCはすでに32.72%を確保した。残りの株主34.78%以上が応じればTOBは成立する。買収後は株主総会で支配・利益移転契約を実現し、メトロの再編に取り組む意向だ。
ハニエルとセコノミー以外の大株主であるメリディアン財団(同14.19%)とバイスハイム・ホールディング(6.56%)は29日に共同声明を発表し、両者が歩調を歩調を合わせることを明らかにした。出資比率引上げの意向も表明しており、EPGCのTOBに横やりを入れた格好だ。
メトロは経営強化に向けてこれまで取り組んできた措置をEPGCが十分に評価していないと批判している。また、EPGCがTOB資金の60%以上を債務で賄うとしていることに懸念を示している。TOBで膨らんだ債務をEPGCがメトロに転嫁し、メトロの財務が悪化する恐れがあるためだ。