米司法省は26日、ドイツテレコムの米移動通信子会社TモバイルUSとソフトバンクの米子会社スプリントが合併する計画を条件付きで承認した。米連邦通信委員会(FCC)も5月に支持を表明しており、合併の実現に向けて大きく前進した格好だ。同計画に対しては差し止めを求めて複数の州の裁判を起こしていることから、司法の判断が今後のポイントとなる。
ドイツテレコムとソフトバンクは昨年4月、それぞれの米子会社TモバイルUSとスプリントを合併することで合意した。合併により米移動通信市場の2大大手であるベライゾン、AT&Tに匹敵する事業規模を獲得し、追撃する考えだ。ドイツテレコムは合併後の新会社(TモバイルUS)を連結対象とし経営権を掌握。ソフトバンクは新会社を持分法適用関連会社とする。
新会社への出資比率はドイツテレコムが41.7%、ソフトバンクが27.4%、ドイツテレコム以外のTモバイルの株主が25.3%、ソフトバンク以外のスプリントの株主が5.6%。ソフトバンクは保有する新会社株の議決権をドイツテレコムに付与することから、ドイツテレコムは過半数議決権を行使できる。
同計画に対しては独禁法上の懸念が持たれていた。市場プレイヤーが現在の4社から3社に減る結果、健全な競争が弱まり、通信料金の上昇につながる恐れがあるためだ。
これを受けドイツテレコムとソフトバンクは当局に譲歩。司法省は今回、周波数帯とプリペイド式携帯サービス事業、店舗数百カ所を米衛星放送大手のディッシュ・ネットワークに譲渡するほか、ディッシュが新会社の通信網を7年間、利用できるようにすることを条件に合併を承認した。