電機大手の独シーメンス(ミュンヘン)が1日発表した2019年4-6月期(第3四半期)決算の産業分野の営業利益(EBITA、調整済み)は19億3,500万ユーロとなり、前年同期比で12%減少した。地政学リスクとそれに伴う世界経済の減速、およびリストラ費の計上が響いた格好で、6部門中4部門で利益が縮小した。産業分野の売上高は4%増の202億1,800万ユーロに拡大しており、売上高営業利益率は前年同期の11.3%から9.6%へと落ち込んだ。リストラ費は同利益率を0.3ポイント押し下げている。
金融サービスなどを含む同社全体の売上高は4%増の212億7,500万ユーロだった。風力発電設備子会社シーメンス・ガメサが23%増と大きく伸びて全体をけん引。医療機器子会社シーメンス・ヘルシニアーズも8%の伸びを確保した。
新規受注高は8%増の245億1,400万ユーロと売上高を大きく上回っており、BBレシオ(新規受注の対売上比)は1.15に達した。6月末時点の受注残高は過去最高の1,440億ユーロを記録した。
株主帰属の純利益は6.7%減の10億3,200万ユーロだった。
営業増益を確保したのはヘルシニアーズと鉄道車両の2部門。産業IoTを手がける「デジタル・ソリューションズ」は自動車・機械業界の投資抑制やクラウド用ソフト開発費の増加が響いて減益となった。構造不況に直面する火力発電部門「ガス・アンド・パワー」も市場価格の低下と稼働率の低迷が響いて振るわなかった。「スマートインフラ」部門はビル向けソリューションの拡充費用、ガメサは市場価格の低下と陸上風力発電設備事業の収益力低下で利益が押し下げられた。