Evonik:エボニックの米社買収に独禁法上の懸念、FTCが提訴

米連邦取引委員会(FTC)は2日、化学大手の独エボニックが過酸化水素(H2O2)と過酢酸(PAA)の有力企業である米ペロクシケムを買収する計画は市場競争の大幅な鈍化につながるとして連邦裁判所に提訴したことを明らかにした。エボニックは正面から争う意向を示しているものの、裁判となったことから仮に勝訴しても買収手続きの完了が遅れるのは避けられない状況。クリスティアン・クルマン社長は同完了時期が今年半ばから来年以降にずれ込むとの見通しを示した。

エボニックは昨年11月、ペロクシケムを投資会社ワン・エクイティ・パートナーズから6億2,500万ドルで買収する計画を発表した。収益力の高い特殊製品分野のポートフォリオ強化方針に基づく措置。

ペロクシケムはフィラデルフィアに本社を置く企業で、北米、ドイツ、スペイン、タイに計8工場を持つ。環境に優しい浄水、半導体洗浄、無殺菌の食品包装など収益力の高い特殊分野に強い。エボニックの当該事業は製紙・繊維産業向けなど汎用品が中心で、収益力が低いことから、同社はペロクシケムを買収することで特殊分野のポートフォリオを拡充する意向だ。

FTCは声明で、買収が実現すると、米北西部と南部・中部の過酸化水素製造・販売市場で適正な競争が阻害されるようになると懸念を表明した。

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