Osram:オスラム―墺AMSが買収提案、米投資グループに対抗―

オーストリアのセンサー大手AMSは11日、独照明機器大手オスラム(ミュンヘン)に対し買収案を提示したと発表した。オスラムはすでに米投資大手のベイン・キャピタルとカーライルから共同買収の提案を受けているが、AMSはそれに10%上乗せした金額を提示した。メディア報道によると、同投資2社は現在、AMSへの対抗策を検討しており、買収合戦に発展する雲行きだ。

オスラムは車載や産業機器、モバイルなどを含めた民生機器および一般照明向けに幅広い種類の光源を提供している。売上高のおよそ半分を占める自動車関連の受注鈍化や、一般照明市場での競争激化に伴う価格下落などを背景に苦戦を強いられている。

一方、高性能センサーの開発・製造を手がけるAMSは米アップルにスマートフォンの顔認証センサーなどを供給しており、アップル向け製品が売上全体の4割近くを占めている。

AMSはオスラムに対し、1株当たり38.5ユーロでの買収を提案した。負債を含めた買収金額は約43億ユーロに上る。

一方、米投資会社ベイン・キャピタルとカーライル・グループは7月初め、オスラムに1株当たり35ユーロの買収案を提示した。オスラムの取締役会と監査役会は同提案を支持する方針を表明したものの、筆頭株主のアリアンツ・グローバル・インベスターズは提示額が低すぎるとして受け入れ拒否の意向を示している。

AMSによるオスラムの買収が実現すると、売上高が50億ユーロを超える、センサーと光工学分野で世界有数の企業が誕生する。市場では大型買収の効果を疑問視する声も出ているが、AMSは2億4,000万ユーロのコスト削減を目指すほか、オスラムのデジタル部門を非中核事業と位置付けて売却を検討することや、一般照明市場から段階的に撤退する方針を示している。また、オスラムの従業員から買収計画への支持を取りつけるため、ドイツ南部レーゲンスブルクの工場をLED照明機器の生産拠点として設備投資を行うことや、買収成立から5年間は現行の労働協約や年金スキームを維持する方針を打ち出した。

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