Metro:メトロ―筆頭株主のTOBが失敗―

流通大手の独メトロは9日、筆頭株主の投資会社EPグローバル・コマース(EPGC)が同社の買収に向けて実施した株式公開買い付け(TOB)が失敗したと発表した。メトロは同TOBに不支持方針を表明していたものの、今回の声明で「メトロの改革プロセスと戦略を全面的に支持するEPGCの意図」については歓迎の意を表明。「建設的な協議」に応じる意向を強調した。

EPGCはチェコの投資家ダニエル・クレチンスキー氏とスロバキアの投資家パトリック・トカシュ氏がドイツで設立した投資会社。出資比率はそれぞれ53%、47%となっている。同社は昨年、メトロの筆頭株主だった複合企業ハニエルとメトロの姉妹会社である家電量販大手セコノミーからメトロ株を取得した。出資比率は現在17.52%で、ハニエル(同15.20%)を抜いて筆頭株主となっている。

EPGCは7月10日、TOBを通してメトロを買収する方針を発表した。普通株67.5%以上の確保をTOBの成立条件としていた。

これに対しハニエルとセコノミーはTOBに応じることを確約したものの、メトロは同社の価値が過小評価されているなどとして不支持方針を表明。ハニエルとセコノミー以外の大株主であるメリディアン財団(同14.19%)とバイスハイム・ホールディング(6.56%)も29日に共同声明を発表して反対の意向を示していた。EPGCが最終的に確保したメトロ株は41.7%にとどまったことから、TOBは失敗した。

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