電機業界上期受注1.6%減少、景況感は14年10月以来のマイナスに

独電気電子工業会(ZVEI)が8日発表した独業界の上半期(1~6月)の新規受注高は前年同期を1.6%割り込んだ。米国と中国の通商摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる混乱を背景に景気の先行き不透明感が強いことが反映された格好。ユーロ圏(ドイツを除く)が3.1%、ユーロ圏外が1.5%、国内が0.9%の幅で落ち込んだ。

6月の新規受注高は前年同月比0.2%減となり、これまでに引き続き低下した。ユーロ圏外からの受注が大型受注の効果で17.1%増加したものの、ユーロ圏が12.4%減、国内が8.7%減と足を強く引っ張った。

6月の業界生産高は物価調整後の実質で前年同月を13.5%下回った。比較対象の2018年6月に比べ営業日数が3日少なかったことなどが響いた。1~6月は前年同期を3.9%下回っており、ZVEIは19年全体で前年を1%上回るとした予測の達成が極めて難しくなってきたとの見方を示した。

第3四半期初頭(7月)の工場稼働率は84.2%で、第2四半期初頭(4月)の85.7%から1.5ポイント低下。受注残も同3.4カ月から3.1カ月へと縮小した。

7月の生産計画(先行き3カ月)で拡大を予定する企業の割合は前月の10.8%から14.7%へと拡大した。ただ、縮小が同15.9%から24.7%へと大きく増えたことから、拡大から縮小を引いた数(ディフュージョン・インデックス=DI)はマイナスマイナス5.2ポイントからマイナス10.2ポイントへと悪化した。

同DIが2ケタ台のマイナスとなったのは電線(-57.4ポイント)、計測機器・プロセスオートメーション(-43.8ポイント)、自動化機器(-27.0ポイント)、配線システム(-25.6ポイント)、エネルギー機器(-21.2ポイント)、電気駆動装置(-20.5ポイント)、スイッチ・開閉装置・産業用制御機器(-19.2ポイント)の計7部門で、前月の4部門から大きく増加した。

鉄道車両は(+100.0ポイント)は前月に引き続き全企業が生産拡大と回答した。このほか、照明(+31.0ポイント)、電子部品(+21.9ポイント)、通信機器(+19.6ポイント)、白物家電(+19.4ポイント)、医療機器(+17.5ポイント)でDIがプラス2ケタ台に上った。

6月の業界売上高は153億ユーロで、前年同月を11.1%下回った。国内が11.3%減の71億ユーロ、ユーロ圏が5.7%減の31億ユーロ、ユーロ圏外が13.9%減の51億ユーロへと落ち込んだ。

1~6月の業界売上高は941億ユーロで、前年同期を0.7%下回った。国内が0.7%減の441億ユーロ、ユーロ圏外が1.8%減の313億ユーロへと後退。ユーロ圏は1.6%増えて187億ユーロとなった。

7月の業界景況感指数(現状判断指数と期待指数の中央値)は前月のプラス1.9からマイナス5.4へと下落し、3カ月連続で悪化した。同指数がマイナスに転落するのは14年10月以来。現状判断指数が大幅に悪化し、期待指数もやや落ち込んだ。

景況感指数が特に良好だったのは情報機器と白物家電、娯楽家電、通信機器。電線と計測機器・プロセスオートメーション、電気駆動装置は振るわなかった。

上部へスクロール