VW:車盗難対策に新技術、VWなどが試作車公開 車の他の分野やスマートホームへも投入見通し

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)と半導体大手の蘭NXPは26日、超広帯域無線(UWB)技術を搭載した試作車を公開した。キーレスエントリーシステムの弱点を悪用した車両盗難が深刻な問題となっていることから、VWは同技術をまずは盗難防止に活用する意向だ。

自動車のキーには近年、カギを持って車両に近づくと自動的に施錠が解除されるキーレスエントリーシステムが利用されている。従来の物理的なキーに比べ快適性は高い。だが、セキュリティ対策が施されていないことから、キーが発する電波を受信して車両に転送し、カギを開けて車を盗む「リレーアタック」という犯罪手法の標的となっている。

VWとNXPはこの犯罪を防ぐためにUWBを活用した技術を開発した。

UWBは近距離通信技術で、通信速度が速いほか、高精度な測位もできる。両社が開発した技術では、キーの位置がわずか数センチの誤差で正確に測定できることから、ほかの場所にいる犯罪者がキーの電波を受信して車両に転送してもキーと犯人の位置の違いが認識され、施錠を不正に解除することはできない。

VWは同技術を搭載したモデルを今年2種類、発売する。将来的には◇車の持ち主が近づくとトランクが自動的に開く◇助手席にチャイルドシートがある場合はエアバッグが機能しないようにする――など盗難防止以外の機能も搭載する意向だ。

同技術はスマートホームなど自動車以外の分野にも投入できることから、市場の将来性は高いとみられている。

上部へスクロール