針葉樹林から混合樹林へ転換、温暖化対策で農相が表明

ドイツのユリア・クレックナー農相は8月29日、国内の針葉樹林を針葉樹と広葉樹からなる混合樹林(針広混合樹林)へと転換していく方針を表明した。地球温暖化の影響で死滅する森林が急増しているためで、温暖化に対応できる混合樹林を増やすことで森の減少による二酸化炭素(CO2)排出量の増加を防ぐ狙いだ。

ドイツの森林は昨年と今年、猛暑と降水量の減少で大きな痛手を受けている。水不足で立ち枯れや森林火災が多数、発生。樹木の抵抗力が弱っていることから、キクイムシの被害も広がっている。昨年は同国の森林の1%に当たる11万ヘクタール強がこれらの被害で失われた。ベルリンとポツダムを合わせた面積に相当する規模だ。

同国の森林面積は1,140万ヘクタールで、国土の約3分の1を占める。その大部分は針葉樹で、トウヒの割合は25%、松は同21%に上る。ドイツの森は特定の種類の針葉樹からなるモノカルチャーな構成となっている。

トウヒは根が浅いことから、雨が少ないと十分な量の水分を確保できず、立ち枯れしたり、キクイムシの被害を受けたりしやすくなる。このため、トウヒのモノカルチャーの森は干ばつが起こると、全滅しやすい。他の針葉樹でもモノカルチャーの森は温暖化に伴うリスクが大きい。

一方、様々な種類の樹木からなる混合樹林は、それぞれの地質や地形、気候に適している限り、水分や光、栄養を森全体でバランス良く確保できることから、温暖化への対応力が高い。

クレックナー農相はドイツの森林がすべて失われると、同国のCO2排出量が14%増えると指摘。温暖化で森が失われるのを避けるために、国が音頭を取る意向を表明した。林業や環境保護団体の代表を招いて9月25日に開催する「森林サミット」までに具体案を作成するとしている。

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