Aiways:愛馳汽車―欧州参入へ、電気SUVでユーラシア横断デモ走行―

中国の新興電気自動車(EV)メーカー愛馳汽車(Aiways

Automobile)が欧州市場に進出する。同市場で販売されている電気SUVが高価格帯製品に限られることから、手ごろな価格のSUVを投入し足場を築く狙いだ。独経済紙『ハンデルスブラット(HB)』が8月28日付で報じた。

愛馳は2017年の設立で昨年、同社初の量産車であるSUV「愛馳U5」を公開した。全長は4.68メート、航続距離は最大で約500キロに上る。中国での販売価格はおよそ3万5,000ユーロ。欧州で販売されている同サイズの電気SUVが最低8万ユーロに上ることを踏まえると、各段に安い。

欧州市場参入を目指した中国の自動車メーカーはこれまですべて失敗した。クラッシュテストで悲惨な評価を下されるなど、品質に問題があったためだ。内燃機関車では中国メーカーの技術力が日欧メーカーを大きく下回っているという事情もある。

EVではそうした問題が小さいことから、愛馳は欧州市場に参入する。性能が高いことをアピールするために9月のフランクフルト国際モーターショー(IAA)に照準を合わせて、中国からドイツまでデモ走行を行った。途中カザフスタン、ロシア、スカンジナビア、オランダ、ベルギー、フランスを走行。走行距離は1万4,200キロに上った。

同社は欧州高級車メーカーの技術要員を引き抜いており、HB紙はハンドル、サスペンション、ブレーキについて「プロフェショナルな印象だ」と評価。ボタンとスイッチがほとんどなく、ほぼすべての操作をタッチパネルと音声で行うコックピットのデザインも簡素で無駄がないとしている。

欧州投入は来年4月の予定。ドイツではリース販売に絞り込む意向で、現在リース会社と交渉を行っている。販売チャンネルはインターネットのみで、販売代理店とショールームは持たない。試乗を希望する顧客には社員が車両を自宅まで届ける。また、初年度はポップアップ・ストアの形で都市を巡回し、試乗の機会を提供する。サービスと修理、交換部品については保険大手アリアンツの協力を受ける。

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