PTScientists:PTサイエンティスツ―自社売却―

宇宙開発のスタートアップ企業である独PTサイエンティスツ(ベルリン)は2日、航空宇宙分野の企業に1日付で身売りしたと発表した。売却先企業と売却額は公表しないことで合意しており不明。『南ドイツ新聞』によると、独物流企業ツァイトフラハトが買収したという。

PTは宇宙輸送サービスの米スペースXのロケット「ファルコン9」を利用して着陸船と探索機を2021年に月へと送り込み、米国の宇宙船「アポロ17号」が1972年に置き去りにした探査機を撮影することを計画している。車両の開発で独自動車大手のアウディ、同探査機が撮影した高精細画像の地球への送信で英電気通信大手ボーダフォンの協力を受ける。5月には、欧州宇宙機関(ESA)が計画する月での「現地資源活用(ISRU)」プロジェクトを欧州ロケット大手のアリアン・グループとともに支援することも取り決めた。

同社は7月、月探索プロジェクトの資金調達に遅れが生じ、資金繰りに行き詰ったことから、会社更生手続きの適用を裁判所に申請。投資家を模索してきた。今回の身売りにより、約60人の雇用が維持されるほか、研究開発事業も遅滞なく進めることが可能になった。

ツァイトフラハトは90年の歴史を持つオーナー企業。物流のほか、不動産と航空分野で活動しており、今春には航空会社ヴァルターをルフトハンザのLLC子会社ユーロウイングスから取得した。従業員数は1,800人、売上高は3億5,000万ユーロに上る。

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