欧州連合(EU)の欧州委員会は17日、独エネルギー大手のエーオンとRWEの事業交換のうち、エーオンがRWE傘下のイノジーを買収する計画を条件付きで承認すると発表した。RWEがエーオンの再生可能エネルギー発電事業を取得する計画については2月に承認しており、両社の事業交換は独禁法上のハードルをクリアしたことになる。
両社は2018年3月、事業交換で合意した。RWEは子会社イノジーの株式76.8%をエーオンに譲渡し、エーオン株16.67%を取得したうえで、イノジーの再生エネとガス貯蔵事業、イノジーが保有するオーストリアのエネルギー大手ケラークの株式49%を譲り受ける。また、エーオンの再生エネ事業、および両社が共同運営する2つの原発のエーオンの権益を取得する。
エーオンは最終的にイノジーの送配電、電力小売事業を手に入れることになる。
欧州委は2月末、RWEがエーオンの再生可能エネルギー発電事業を取得することを無条件で承認した。一方、エーオンによるイノジー買収に関してはドイツやチェコ、スロバキア、ハンガリーの送配電市場で寡占が強まり、電力価格の上昇を招く恐れがあるとして、本格的な調査を開始することを3月に決定した。
エーオンはこれを受けて◇ドイツの暖房用電力顧客契約の大半◇ドイツの高速道路(アウトバーン)で展開する充電ステーション34カ所◇ハンガリーの電力小売事業の一部◇チェコの電力・ガス小売事業――を放出する案を欧州委に提示。同委はこれらの提案の履行を条件にイノジー買収を承認した。
事業交換が完了すると、エーオンは発電事業から撤退し電力とガスの輸送・販売、一般世帯・企業向けエネルギーサービスに経営資源を集中。RWEは再生エネを中心とする発電と、電力卸売事業を展開する企業となる。イノジーは解体される。