独連邦ネットワーク庁は10日、陸上風力発電パークの新規設置を対象に実施した助成金入札の結果を発表した。入札規模500メガワット(MW)に対し応札が187MWにとどまる札割れが発生。競争を通した助成額の引き下げという入札制度本来の機能は発揮されなかった。平均落札価格は過去最高の1キロワット時当たり6.2ユーロに達した。
背景には陸上風力発電の◇認可手続きが長期化している◇用地確保が難しくなっている◇設置プロジェクトに反対する住民が各地で訴訟を起こしている――という事情がある。政府は今年、計2,500MWの入札を実施するが、応札規模はその半分にも達しないと予想されている。
再生可能エネルギー電力は2016年まで、固定価格で買い取ることが再生可能エネルギー法(EEG)で義務づけられていた。だが、買い取り価格で得られる収入は発電施設の設置・運営コストを大幅に上回り、施設を設置すれば確実に利益を得られることから、再生エネ発電施設を設置する企業や投資家、市民が急増。これにより再生エネを大幅に拡充するとした政府の思惑は満たされたものの、同電力買い取りの費用は最終的に電力料金に上乗せされることから、消費者や企業の負担は限界に達した。
こうした状況を改めるため、再生エネ発電施設の新規設置を入札によって決める制度が17年から本格導入された。低価格での買い取りを提示した事業者が落札することから、買い取り総額の膨張に歯止めがかかる仕組みだ。
陸上風力発電では当初、応札が入札規模を上回り、落札価格の抑制機能が働いていたものの、設置プロジェクトを取り巻く環境の悪化を受けて、最近は応札が大幅に減少。札割れが続いている。