Freudenberg:フロイデンベルク―燃料電池事業を強化―

独複合企業フロイデンベルクの自動車部品事業統括会社フロイデンベルク・シーリング・テクノロジー(ヴァインハイム)が燃料電池事業の強化に取り組んでいる。同社が強い防振部品などの需要は車両の電動化に伴い今後、縮小していくことから、将来性のある事業を今のうちに育成しておく意向だ。同社のクラウス・メーレンカンプ社長などへの取材をもとに9月25日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

自動車の動力源がガソリン/軽油から電力に移行すると、フロイデンベルク・シーリング・テクノロジーの売上高は約70%減少する恐れがある。同社はこれを踏まえ、電動車部品事業への参入を2016年に決定。18年には燃料電池製造の独エルコアと、商用車向けリチウムイオン電池セル製造の米ゾルト・エナジーを買収した。

現在は「フリックスブス」ブランドで長距離バス事業を展開する独フリックスモビリティ向けに燃料電池システムを開発している。プロトタイプの第一号では航続距離500キロを実現。フリックスブスは遅くとも22年までに同システム搭載のバス30台の試験運用を開始する、量産は24年以降となる見込み。

現在はフロイデンベルク製の燃料電池システムを搭載するバスの製造元を模索中で、すでに数社と協議している。カナダのバスメーカー、ニュー・フライヤーにはプロジェクトベースながらすでに燃料電池を供給している。

フロイデンベルクはガソリン、ディーゼルエンジンの生産が35年に終わりを迎えるとの前提に立ち、燃料電池の売上高を30年までに5億~10億ユーロへと引き上げる目標を掲げている。乗用車向け市場は変動が激しいことから参入せず、トラック、バス、鉄道車両、船舶向けに事業を絞り込む意向だ。

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