欧州航空機大手エアバスへの欧州連合(EU)の補助金をめぐる通商紛争で、米国がEU製品に年最大75
億ドルの報復関税を課す方針を打ち出したことが、ドイツ経済に暗い影を落としている。独『ヴェルト』紙が米商務省の非公開文書をもとに報じたところによると、ドイツ製品にはEU加盟国で最大の約24億ドルの報復関税が課される見通しだ。ドイツ機械工業連盟(VDMA)のウルリヒ・アッカーマン貿易部長は、独機械メーカーの新規受注が大きく落ち込んでいるこの時期に報復関税が課されることに、「タイミングが悪い」と懸念を示した。
世界貿易機関(WTO)は2日、EUによるエアバスへの補助金をめぐる通商紛争で、米国がEUに年最大75億ドルの報復関税を課すことを承認した。米通商代表部(USTR)はこれを受けて同日、EUに対する報復関税を今月18日にも発動すると発表した。WTOはEUから米国への報復関税についても仲裁手続きを進めており、EU・米間の貿易摩擦はさらに激化する懸念がある。