ティッセンクルップ―管理部門スリム化―

鉄鋼系複合企業の独ティッセンクルップ(エッセン)が管理部門をスリム化する意向だ。マルティーナ・メルツ暫定社長が8日、管理職を対象とした講演で明らかにしたもので、自動車部品部門と産業ソリューション部門(プラントエンジニアリングと造船)の本部で従業員およそ300人を削減する。

ティッセンクルップは米国鉄鋼事業の失敗で巨額の負債を抱え込んだうえ、業績も振るわないことから抜本的な事業の見直しが避けられなくなっている。事態の打開に向けて同社と印タタ製鉄の欧州鉄鋼事業を合弁化することを計画したものの、欧州連合(EU)の欧州委員会に承認されない見通しを受けて断念。収益力が高いエレベーター部門の新規株式公開(IPO)ないし売却を実施し、財務基盤を強化する方針へと転換した。

だが、再編方針をめぐってギド・ケルクホッフ前社長と投資会社セビアンなどの有力株主が対立。同前社長は9月末付けで辞任へと追い込まれた。

これを受けて、監査役会長だったメルツ氏が最大1年間、社長を務めることになった。今回表明した2部門の人員削減方針は、グループ全体の管理コストを2億ユーロへと半減する計画の一環として打ち出された。

ティッセンクルップは自動車部品と産業ソリューション部門の合弁化を模索している。場合によっては合弁のジュニアパートナーとなることも辞さない構えだ。

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