ドイツ連邦カルテル庁は9日、独スーパーマーケット大手レーベが独食品卸大手のレッカーラントを完全買収する計画を無条件で承認したと発表した。食品卸売市場における両社のシェアが計10%未満にとどまることから、調達と販売の両面で適正な競争が阻害される恐れはないと判断した。
レーベは5月、レッカーラントを完全買収することで合意した。外出先で軽食や飲料を購入する消費者が増えていることから、両社の強みを生かしてコンビニ事業を強化する意向だ。
レッカーラントはガソリンスタンドやキオスク、コンビニエンスストア、パン屋などに軽食を卸す事業を欧州7カ国で展開している。顧客数は約9万1,000店。従業員数は4,900人で、昨年は124億ユーロを売り上げた。日本たばこ産業は海外販売子会社JTIを通して同社に25.1%出資している。
レーベは2014年、独ガソリンスタンド大手アラールの直営スタンド10カ所にコンビニエンスストア「REWE
ToGo」を設置するパイロットプロジェクトを開始。高い成果が上がったことから16年には同事業を本格化した。REWE
ToGoを現在、アラールのスタンド465カ所のほか、人通りの多い駅や都市中心部など18カ所で展開している。レッカーラントを買収することで、同社は物流、卸売分野のノウハウを獲得し、コンビニ事業を加速させる意向だ。
カルテル庁は今回の買収計画が両社に商品を供給するメーカーとサプライヤー側、およびガソリンスタンドなどの顧客側にもたらす影響をそれぞれ調査。メーカー/サプライヤー側に対する影響については、レーベの価格交渉力は現時点で極めて大きいものの、レッカーランドの事業規模が相対的に小さいことから、買収によるレーベの価格交渉力の高まりはほとんどなく問題ないと判断した。
ガソリンスタンドなど顧客側への影響についても、大手ガソリンスタンドについては価格交渉力が高く問題が生じないと結論づけた。中小のスタンドについても商品グループごとにサプライヤーを変えることなどを通して、不当な高値での購入を回避できるとしている。