製薬・化学大手の独メルク(ダルムシュタット)は18日、スタートアップ企業を支援するためのファンドを中国に設立した。画期的な技術を持つ同地の若い企業を掘り起こし、自社の製品開発に活かすことが狙いで、上海には同日、社外の知識や技術を積極的に取り込むオープンイノベーション型の事業拠点「イノベーションハブ」を正式にオープンした。
資金規模1億人民元(1,300万ユーロ)のファンドを設立した。ヘルスケア、ライフサイエンス、機能材料分野のスタートアップ企業に資金を提供する。対象とするのは創業から間もない「シード期」の企業。1社当たり50万~100万ユーロを投資し、1年半~2年で急成長の開始時期に当たる「バリュー・インフレクション・ポイント」まで引き上げる。
上海のイノベーションハブではスタートアップ企業や研究機関などと共同でプロジェクトを実施する。ヘルスケア、ライフサイエンス、機能材料のほか、人工知能(AI)ベースの健康ソリューション分野でも協業する計画だ。協業するスタートアップ企業はメルクが持つグローバルなネットワークを活用できる。
同社は中国2カ所目のイノベーションハブを広州市に設置する計画。11月の開設を予定している。
メルクはスタートアップ企業への投資活動を自社の戦略ファンド「Mベンチャーズ」を通して展開している。同ファンドの資金規模は3億ユーロに上る。