グローバルファウンドリーズ―独生産能力拡張を視野に―

半導体受託製造大手の米グローバルファウンドリーズ(GF)が主要生産拠点のドイツで生産能力の拡張を視野に入れている。トーマス・コールフィールド最高経営責任者(CEO)が『南ドイツ新聞』に明らかにしたもので、資金は新規株式公開(IPO)で調達するとしている。

GFは米半導体大手AMDの製造部門をアブダビ首長国(アラブ首長国連邦を構成する国の1つ)の政府系投資会社ATICとの合弁に転換する形で2009年に設立された企業。AMDが独東部のドレスデンを主要生産地としていたことから、同地に計8工場を持つ。

IoTや自動車向け半導体の将来性が高いことから、GFは今後、これらの分野で事業を拡大する方針。コールフィールドCEOは、ドレスデンには生産能力拡張の余地が十分にあるとして、新工場の設置に意欲を見せた。

生産能力拡大に踏み切る場合は、1~3年後にIPOを実施する。これにより資金を調達するとともに、親会社ATICからの独立性を相対的に高める意向だ。

半導体回路線幅の微細化競争には加わらない意向も明らかにした。最も微細な線幅の製品はシェアが半導体市場の25%にとどまるためだ。回路線幅は現在、7ナノメートルまで微細化されているが、同社は12ナノメートル以下の製品を当面、手がけないとしている。同CEOは「重要なのは顧客に何を提供できるかだ」と述べ、12ナノメートル以上の製品でも十分な需要があるとの認識を示した。

GFは競合の台湾積体電路製造(TSMC)、サムスンに比べ資金力が小さいことから、巨額資金を要する微細化競争から昨年、撤退したという事情がある。

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