ネオニコチノイド系農薬の認可更新せず、来年5月以降は使用禁止に

欧州連合(EU)加盟国は22日、ミツバチの大量死や大量失踪の主な原因とされるネオニコチノイド系の農薬のうち、新たにチアクロプリドの使用を禁止することで合意した。チアクロプリドを有効成分とする独バイエルの殺虫剤について、認可期間を延長すべきではないとする欧州委員会の見解を加盟国が支持した形。これによりEU域内では2020年5月1日以降、「カリプソ」と「ビスカヤ」のブランド名で販売されている殺虫剤の使用が禁止される。

ネオニコチノイド系の農薬は害虫駆除の効果が高く、世界各地で広く使用されているが、ミツバチが突然大量に失踪する「蜂群崩壊症候群」との関連性が指摘されている。EUは欧州食品安全機関(FESA)が12年、ネオニコチノイドはミツバチの中枢神経系に作用して麻痺や死をもたらすとの分析結果をまとめたのを受け、域内での使用が認められているネオニコチノイド系農薬5種のうち、クロチアニジン、イミダクロプリドおよびチアメトキサムについて、13年7月からミツバチを誘引するトウモロコシ、ナタネ、ヒマワリ、ワタなどへの使用を原則禁止。さらに18年4月からは温室での散布を除いて全面禁止に踏み切った。

一方、ネオニコチノイド系農薬のうち、毒性が低いチアクロプリドとアセタミプリドは現在も使用が認められているが、FESAは今年1月、農作物を通じて摂取されたチアクロプリドが人体に悪影響を及ぼす恐れがあるとの見解を表明。これを受けて欧州委はバイエルの殺虫剤に対する認可を更新せず、認可期間が終了する来年5月以降は使用禁止とすることを加盟国に勧告していた。

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