炭素製品大手の独SGLカーボン(ヴィ―スバーデン)は25日、2019年12月期の業績予測を引き下げた。繊維織物と工業用製品事業の業績悪化を受けたもので、純損益の予想赤字額を従来の「百万ユーロのケタ台の後半」から「約1億ユーロ」へと大幅に下方修正した。業績改善に向けて人員削減や生産ラインの交換の加速、製品構成の見直し、一部製品の値上げに踏み切る。
繊維織物と工業用製品事業の不振を受けて両事業を統括する「炭素繊維・複合材料(CFM)」部門の営業損益(EBIT、特別項目を除く)を従来予測の「百万ユーロのケタ台半ばの黒字」から「百万ユーロのケタ台半ば~後半の赤字」へと引き下げた。このため、同社全体の営業利益も「約5,500万ユーロ」から「4,500万~5,000万ユーロ」へと下方修正した。
SGLはまた、CFM部門の損益悪化を受けて減損テストを実施した結果、現金以外の減損費用7,000万~8,000万ユーロの計上が避けられなくなったことから、同費用を第3四半期(7~9月)に計上する。さらに、12月期に繰延税金資産の評価額を最大1,000万ユーロ引き下げることから、巨額の純赤字を計上することになった。
同社は20年12月期の売上高が19年12月期(10億5,000万~11億ユーロ=予測)をやや下回る見通しも明らかにした。
プレスリリースによると、工業用製品事業は景気低迷の直撃を受けて業績が悪化した。一方、繊維織物事業では景気のほか、価格変化に伴って相対的に高くなった財を相対的に安くなった財に代える代替効果が響いている。
CFM部門の主力である自動車、航空機向け事業は好調という。SGLは収益力の高い航空機向け事業の拡大を加速する意向だ。