水素燃料電池と蓄電池を併用するハイブリッド航空機を、ドイツ航空宇宙センター(DLR)のヨーゼフ・カロ教授を中心とするチームが開発している。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じたもので、同教授は、動力源に蓄電池のみを使用する航空機には実用化のチャンスがほとんどないとみている。
チームは3年前、第1号機「HY4」を公開した。定員は4人。離陸時と急上昇時は大量のパワーを必要とすることから、高出力のリチウムイオン電池を使用するものの、それ以外はタンク中の水素と空気中の酸素を反応させて電力を生み出す燃料電池を使用する。
カロ教授が蓄電池のみの航空機に否定的なのは、重量とサイズが大きすぎるためだ。重すぎると航続距離が短くなり、場所を取ると座席のスペースが少なくなる。
現在はカナダの燃料電池メーカーであるハイドロジェニックス、スロベニアの軽航空機メーカーであるピピストレル、独ウルム大学、シュツットガルト空港の協力を受けて次世代燃料電池を搭載したハイブリッド航空機のテスト準備を進めている。初飛行はスロベニアで行う計画だ。
特にやや大き目な空飛ぶタクシーとして需要があると予想している。小空港間や、大空港と小規模空港を結ぶ支線での利用を想定する。
長期的にはより大きなハイブリッド機が実現するとの見方で、カロ教授は、十年後には座席数60~80、航続距離2,000キロの機材も可能だと述べた。ただ、大型機については内燃機関の時代が続くとみている。