欧州の複数のトラックメーカーが6トン以上のトラックとトラクターの販売で結んでいた違法なカルテルで被害を受けたとしてドイツの運送会社およそ3,200社が訴訟を集団化することを、ミュンヘン地方裁判所が承認した。同地裁のゲザ・ルッツ裁判長は24日の第1回口頭弁論で、個々の損害賠償請求権を法律サービス事業者に譲渡して裁判を行うことに法的な問題はないとの認識を示した。
欧州連合(EU)の欧州委員会は2011年、トラック大手の独MAN、ダイムラー、ボルボ/ルノー(スウェーデン/仏)、伊イベコ、蘭DAF、スカニア(スウェーデン)の6社・グループが1997年から2011年にかけて、販売価格を取り決めるなどカルテルを結んでいた疑いがあるとして、各社に立ち入り調査を実施。スカニアを除く企業はカルテルへの関与を認め、調査に協力したため、欧州委は調査段階でカルテルへの関与を認めて調査に協力すれば制裁額を10%減額する和解制度を適用し、16年7月に総額29億2,650万ユーロの制裁を科した。
スカニアに対しても17年9月に約8億8,000万ユーロの制裁金支払いを命じた。ただ、同社はこれを不服として裁判で争っており、同社の違法性は確定していない。
スカニアを除く5社・グループの違法性が確定したことを受けて、ドイツの運送会社は損害賠償請求の準備に入った。たた、運送会社は事業規模が小さく大手企業を対象に単独で裁判を行うのが難しいことから、業界団体BGLは訴訟費用融資会社の支援を受けて法律サービス会社を設立。同サービス会社は運送会社から損賠請求権を買い取り提訴した。請求総額は8億ユーロを超える。