虚偽と知らずに同僚の誹謗情報を流布、即時解雇は妥当か

同僚や上司を誹謗することは即時解雇に値する行為である。この問題に絡んではすでに多数の判決が出されている。では、同僚などについて聞き知ったネガティブな情報を嘘と知らずに広めた場合も即時解雇は妥当な処分なのだろうか。この問題を巡る係争でバーデン・ヴュルテンベルク州労働裁判所が3月に判決(訴訟番号:17

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52/18)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は被告企業の被用者が同社を相手取って起こしたもの。同被用者は2018年2月15日付で採用された。その2日後の17日、喫茶店で会った知人から、同社経営者の父親で同僚に当たる人物R.S.が強姦で有罪判決を受けたという虚偽の情報を伝えられた。同被用者はこの情報を真に受け、メッセージアプリ「ワッツアップ」のチャットで同僚S.D.に伝えた。

同僚R.S.に強姦の前科があるという情報を聞いて不安になったS.D.はその日のうちに経営者(R.S.の息子)に電話し、話し合いを要求した。この情報自体が虚偽であることから、同社は19日付の文書で原告に即時解雇を通告。原告はその取り消しを求めて提訴した。

一審は原告勝訴を言い渡したものの、二審のバーデン・ヴュルテンベルク州労裁は逆転敗訴判決を下した。判決理由で同州労裁の裁判官は、名誉棄損罪の要件を満たす発言は民法典626条で認められた即時解雇の「重大な理由」に該当するとの判断を示した。虚偽情報であることと原告が知らなかったことは重要でないとしている。

最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めなかった。

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